この記事では、①なぜ赤ちゃんを泣き止ませたいと思うのか、②泣きやませ方にはどのような方法があるのかについて考えていきます。
赤ちゃんを泣き止ませたいという願い
日本や東アジア
赤ちゃんを泣きやませたいと思う気持ちは、日本の文化でもあります。
日本は、子育ての方針としてプロキシマルケア(Proximal Care)という考え方が強く、泣いている赤ちゃんを抱き上げたり、あやしたりして泣かない状態に戻したいと行動する親が多いようです。これは日本固有の考え方ではありませんが、東アジアには多いようです。
日本には長い歴史があります。子育てに関しては海外のやり方や意見を取り入れてきた歴史は短く、明治時代に海外の文化を積極的に受け入れましたが、子育てに関しては影響は少なかったと考えられます。
平安時代以降に描かれた絵巻を見ても赤ちゃんをあやす姿が多く描かれていますし、その時代の習俗が今の時代にも同じように行われています。
これらのことからも、子育て中は赤ちゃんを大切に扱い、なるべく泣かないようにするというような考え方や慣習が受け継がれているのでしょう。
欧米
一方で、ヨーロッパを中心とした欧米では、平常の状態にある赤ちゃんをより喜ばせたい、ハッピーにしたいという考えが強いです。そのため、泣いている赤ちゃんに対して我慢強く長く対応するという行為は日本よりは少ないようです。授乳や室温、おむつなどに問題がないなら、まずは自分で泣きやんでもらいたい。そうしたら一緒に遊びましょうという考えが強いようです。
どちらが良いというわけではなく、どちらもそれぞれの文化を背景として続けられてきました。
泣いている赤ちゃんを泣きやませるメリット
泣いている赤ちゃんは不快な状態にあるわけですから、それを平常もしくは快の状態に戻してあげることは、赤ちゃんに基本的信頼感を持たせるという意味では意義があるかもしれません。
基本的信頼感とは周りの人を信じる(そして頼る)ということです。親が赤ちゃんの不快を快にする行為を繰り返すことで、赤ちゃんは「この人(親)はいい人だ、信頼できる」としっかり信じられます。
通常、基本的信頼感の最初の芽は通常は親に対して向けられます。(参考『こどもへのまなざし』福音館書店/佐々木正美)
赤ちゃんの泣きやませ方(心の落ち着け方)
①リラックスできるリズムを利用する
こちらの記事で詳しく紹介していますが、赤ちゃんは少し速めのテンポで揺らしてあげると心拍が落ち着いてリラックスすることがわかっています。あくまでもテンポが速いだけで激しい動きではないことに注意してくださいね。
赤ちゃんの姿勢はリラックスに影響がありそうです。大人でもリラックスできる姿勢と緊張する姿勢がありますよね。赤ちゃんの場合はCカーブで膝が開脚している状態が快適な施設です。
授乳クッションをつかって、赤ちゃんがリラックスできる寝床を作れます
抱っこで無理な姿勢になっていたら、それを直してあげるだけでも泣きの状態が改善するかもしれません。
②音を利用する
赤ちゃんはあまり静かでも泣きやまないことが多いです。
ネットではビニールをくしゅくしゅさせる音で寝るとかいろいろな秘技(?)が紹介されていますよね。もちろんそういう情報を試すのもよいでしょう。
親が疲れ果てていて、抱きあげたりなにか持ってくるのがたいへんなときには、胸や背中を優しくトントンするだけでもいいのです。これでは泣きやまないかもしれませんが、「あなたのことを無視しているのではないよ」という大切なメッセージになります。
まとめ
愛着理論を研究する研究者の中では、泣いたり喜んだりして気持ちを表している赤ちゃんに対して、何も反応しないということはあまり感心されないようです。確かに大人であっても、落ち込んだり喜んだりしているときは、誰かとその気持ちを共有したいと思いますよね。
赤ちゃんが泣きやむ/泣きやまないに限らず、「今こんな気持ちなんだね」と親がわかっていることを伝えることはとても大切です。