最近、おんぶの良さが見直されているようです。
InstagramなどのSNSには「#はじめてのおんぶ」がいっぱい投稿されています。
この記事では、はじめてのおんぶがスムーズにできるおんぶ紐の選び方や使い方、注意点をご紹介します。
はじめてのおんぶに最適なおんぶ紐
「おんぶひも」で検索するとたくさんの商品がでてきますね。
どれがどういいのか?
そもそも私たち親子にぴったりなものってどんなもの?
という疑問にお答えします。
昔ながらのおんぶ紐
日本人はもともとほとんどの子育て時間をおんぶで過ごしてきました。
おんぶ専用の道具が商品として販売されるようになったのはまだ100年の歴史もありません。
昔は手作りか着物の帯を流用していました。
昔は「バッテンおんぶ」などと言われていましたが、今はリュック式で胸を強調しない紐の縛り方も紹介しています。
メリット
昔ながらのおんぶ紐のメリットはたくさんあります。
北極しろくま堂の脚入れがないタイプは高い位置でおぶうことができます。
紐で縛るので家族での共有も面倒がない。
おばあちゃんに預ける時も安心など。
寝てしまった時にもがちゃがちゃ音をたてること無く、お布団に降ろせるのもめっちゃ嬉しいですよね!
お洗濯も簡単なので、吐き戻しやう○ちがはみ出てしまった…なんていうときにもささっと洗えるのが嬉しいですね。
また、へこ帯という、元は男性の帯のかたちを再現した商品もあり、これを使うとおんぶだけではなく抱っこもできます。
デメリット
そもそも日本式のおんぶの姿を見たことがない、やったことがないという方がほとんどですから、スムーズに使いこなすまでに多少の練習が必要です。
フィットした抱っこの経験がない親子の場合は、どれだけ密着してよいのかが体感的にわからないことがあるため、はじめは経験者に教えてもらうという方もいます。
腰ベルトがあるリュックタイプのおんぶができるキャリー
成型されたベビーキャリーをSSC(Soft Structure carrier)と呼びます。これらは抱っこ紐をおんぶと兼用で使うというパターンが多いでしょう。
腰ベルトがある、あるいは昔ながらのタイプでも赤ちゃんの脚を入れる穴があるおんぶ紐商は赤ちゃんの位置は低くなりがちです。
元々はアフリカの人々がやっているおんぶを見て、それを西洋で取り入れた人たちがいます。
そのおんぶはお尻に赤ちゃんを乗せてそれを布で覆うというスタイルなので、赤ちゃんの位置が低いのは当然なのです。
アフリカの人と西洋人、日本人それぞれに生活上の姿勢や動作も違うので、これは文化の差としかいいようがありません。
メリット
腰ベルトがあるので、使用者の腰に子どもの体重を載せることになります。
そのため肩がとても楽です。また、日本式の昔ながらのおんぶ紐に比べると背あて(パネルといいます)が広いものがあるので、安心感もあるでしょう。
SSCもほとんどの商品は洗濯機で洗うことができます。
デメリット
デメリットに入るかどうかわかりませんが、背中への乗せ方が少し怖いと思う方もいるかもしれません。
先に腰ベルトをはめてから赤ちゃんをパネルと一緒に背中にまわしていくという感じです。
また、前述したように高い位置でおんぶうことはできないので、赤ちゃんにとっての視界はあまりひらけたものになりません。
筆者はこれは想像以上に赤ちゃんに影響があるのではないかと考えています。
前が充分に見えないということは、おんぶする人(親)が前進している時には赤ちゃんも前方に加速度が加えられていますが、前が見えていません。
もし自分がこの立場だったらどうでしょうか?
アフリカや西洋の人たちは日本人と作業姿勢が違うので、これでも許容できますが、日本の人たちは同じような姿勢をとることはほとんどできません。また彼らのように腰もはっていません。
体格の違う人が持っていたメリットを日本の親子に活かすことは非常に難しいのです。
おんぶのメリットを最大限に活かす
おんぶのメリットはいろいろあります。
親としては両手があくので家事や仕事がしやすい、寝かしつけにもなる、子どもへの対応(少しぐずったり優しく揺すったり、子守歌を歌ったり)が同時並行でできるということではないでしょうか。
子どもの側からみると、親のやっていることが上から見下ろせるとか自分の能力では体験できない加速度や揺れが体験できる(それによって環境と自分のカラダの適応を学んでいく)などが挙げられます。
特に自分ではできない作業を親が目の前で展開しその様子を観察するという時間は、子どもが社会性を身につける第一歩になります。
寝かせておくと泣くからおんぶという消極的な理由だけではなく、積極的におんぶの時間を心の成長に活かしてほしいものです。
また、これは科学的な根拠がみつけられていませんが、お母さんやお父さんのうなじからでる匂いを感じるというのは子ども期の記憶として良いモノなのではないかと筆者は考えています。
抱っこやおんぶについての講演をすると、「おんぶされていた時の匂いを思い出した」「おんぶされていた時に見た風景とお父さんの匂いを思い出した」などと感想をいわれる方がいます。
匂いは脳の最も奥(海馬)に記憶されるものだそうなので、もしかしたら何か愛着形成の一助になっているのかもしれませんね。
はじめてのおんぶの怖くないやり方
赤ちゃんを背中に載せるのは、ポイントさえ抑えれば怖くありません。
まずは背中に載せてみましょう
赤ちゃんや子どもを一度も背中に載せたことがない方もいますので、まずは背中に載せてみましょう。
これはひとりでは無理なので、カップルやお友達どうしでやってみてください。
おぶう側の人は前かがみになって赤ちゃんがずり落ちないようにします。
載せる人は「今から載せますよ」などと声を掛けながら載せてあげて下さい。
高さは赤ちゃんの顔が大人の肩よりも少し上くらいです。
真ん中に載せると大人の髪が赤ちゃんの顔にあたってしまうでしょう(だから”おしん”は手拭いを巻いていたんですね)。
背中に載せてもらったら腕を背中に回して赤ちゃんのお尻を触ってみましょう。
重さや密着感を感じてみましょう。
前傾した大人の背中に赤ちゃんを乗せると赤ちゃんはうつぶせに近い状態になり、お腹が圧迫されるために嫌がる子もいます。
それはおんぶが嫌というよりも、うつぶせに慣れていないと考えてよいでしょう。
昔ながらのおんぶ紐
乗せ方から一連の流れを動画ででみてましょう。*音がでます。
紐で胸がバッテンになるのが嫌な方はこの動画の方法をお勧めします。
記事で読みたいかたは、
「おんぶ リュック チベタン」
です。紐のPassの仕方が「リュック」で、結び方が「チベタン」という意味です。
腰ベルトがあるキャリー
落下防止のためにベビーウエストベルトを必ず使いましょう。
初めてのおんぶの注意点
緩くしない
中高校生の時にリュックをルーズに背負っていた方はより注意が必要です。
モノは落としても壊れるだけですが、赤ちゃんは落とせませんよね。怪我をします。赤ちゃんはお尻にいないように注意しましょう。
日本式のおんぶは肩越しで親がやっていることが見える高さでおぶえるように調整します。日本式のおんぶで高さが低いと肩ばかりに負担がかかって気持ちが悪くなったり、落下の危険が増すなどしてよいことはありません。
リュック式のSSCでも左右に揺れすぎるのはよいことではありません。また赤ちゃんがぐたっとした状態で過ごすことも決してよい影響はないでしょう。
股を開きすぎない
SSCで低い位置のおんぶになってしまうと、ちょうど親の身体の広い部分(たいていはお尻あたり)で脚を広げた状態になります。
赤ちゃんの脚はM字開脚がよいのですが、それは2次元でのMではなく、和式のお手洗いに座っている時のようなお尻が下がって引っ込んだ状態のM字開脚なのです。横に広がりすぎるのは身体の成長によい影響を与えることは少ないでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
おんぶは子どものお世話と関わり合い、家事や用事が同時にできる便利な方法です。昔の日本人はおんぶの良さを最大限に活かし、子どもの成長にプラスの面を与え続けてきました。
ぜひあなたも安全な「#はじめてのおんぶ」 に挑戦してみてくださいね。
この記事は2018年4月6日に公開したものに加筆修正しました。