執筆:園田正世(北極しろくま堂) 抱っこ・おんぶの専門店として2000年創業
初回公開:2020年8月28日 / 最終更新:2026年9月29日

この記事の要点

  • おんぶ育児の主なメリット

    親の両手が自由になって家事や移動がしやすくなるほか、高い位置から親と同じ景色を見られるため赤ちゃんの好奇心や心身の発達に良い影響を与えます。また、肌の触れ合いによるスキンシップ効果も得られます。

  • 開始時期と使用上の注意点

    おんぶは赤ちゃんの首がしっかりすわってから行い、最初は短時間から徐々に慣らしていくのが安心です。後ろへの奥行きが出るため周囲への接触に気を配り、直接視界に入らない赤ちゃんの様子や体調の変化をこまめに確認することが大切です。

  • 活用できるお役立ちアイテム

    「昔ながらのおんぶひも」や「1本ひも」「へこおび」「ベビーラップ」など、用途や好みに合わせた様々なおんぶひもが活用できます。

おんぶすることのメリットは?

  1. 高い位置のおんぶは赤ちゃんが飽きない
  2. 両手が使える
  3. スキンシップになる

今、おんぶ育児が見直されています。赤ちゃんをおんぶしながら育児すると、親との自然なスキンシップが生まれて赤ちゃんが落ち着きやすい、豊かなコミュニケーションによって非認知能力が高まることが期待できるなど、数多くのメリットがあるからです。
しかし、おんぶ育児を上手に行うには、いくつかのコツがあります。安全に快適に赤ちゃんをおんぶするためにも、おんぶ育児のメリットをはじめ、注意点もきちんと理解しておくことが大切です。

 

そこで今回は、おんぶ育児のメリットについて詳しく解説します。

 

 

おんぶ育児にはどんなメリットがある?

おんぶ育児にはどんなメリットがあるか、詳しく見ていきましょう。

メリット1:赤ちゃんが退屈しにくい

おんぶ育児では、赤ちゃんが親の肩越しに広い世界を見ることができるのもメリットです。親と同様に、高い位置から広く見渡せるので、赤ちゃんの好奇心を刺激して心身の発達によい影響を与えると考えられています。おんぶされると、親と同じ方向を向くことができ、赤ちゃんも退屈しづらく、ストレスにならないのもよい点です。

メリット2:親は両手が自由につかえる

おんぶ育児の大きなメリットは、親の両手が自由に使えることです。赤ちゃんをお世話しながら家事をしやすくなったり、外出時にも危険を回避しやすくなったりします。買いものや公共交通機関での移動も、両手が空いていることで格段に行動しやすくなるでしょう。何かと忙しいときに両手が空いていることは、想像以上に助かるはずです。

おんぶしながら掃除をする女性

メリット3:赤ちゃんとのスキンシップになる

おんぶ育児では、赤ちゃんと密着することで自然なスキンシップになることも忘れてはいけません。赤ちゃんは、親の体温を感じると深い安心感を得ることができます。おんぶ育児では赤ちゃんが落ち着きやすく、育児にかかる労力が減るのも大きなメリットです。

おんぶ育児が見直されている理由は?

 

おんぶ育児が見直されている理由について見ていきましょう。

 

現代はワンオペ育児をせざるを得ないから。

 

おんぶ育児が見直されている背景には、ワンオペ育児が増えていることが挙げられます。赤ちゃんが生まれても、実家が遠い、実家との関係が悪いなどの理由で、援助を受けられる家庭ばかりではありません。コロナ禍で実家も義実家にもお手伝いを頼めないご家庭もあるでしょう。また、夫婦共働きが増えたとはいえ、育児休暇を自由に取ることができないこともあります。本来なら、2人以上の手で育児を進めるのが理想ですが、実際にはワンオペ状態になっていることも多く、おんぶ育児のメリットが見直されてきているのです。

 

おんぶ育児にはメリットが多いから。

 

おんぶ育児にはメリットが多くあることも、見直されている理由の一つです。具体的な内容については、この記事の「2.おんぶ育児にはどんなメリットがある?」を参考にしてください。おんぶ育児のメリットを最大限に活用すれば、親と子どもの両方によい影響を与えることができます。もちろん、おんぶ育児にもデメリットはあるので、メリットとデメリットの双方をよく理解しておくことも大切です。

 


 

おんぶの開始時期はいつ?

 

おんぶを開始する時期について詳しく見ていきましょう。

 

赤ちゃんのくびがすわってからが目安

 

おんぶを開始する時期は、赤ちゃんの首がすわってからが目安です。赤ちゃんは、大体生後3~4か月以降に首が据わってきます。ただし、首がすわった直後は不安定なので、おすすめしません。安全におんぶ育児を行うためにも、赤ちゃんの首が常に据わった状態になってからにしましょう。

 

通常、4カ月健診では首すわりの様子を確認しています。4カ月健診で何も言われなかった、または「おくびはすわりました」と言われたらおんぶ生活開始です。
(くびは漢字では「頚」と書きます。くびがすわることを定頚と言います。身体のパーツの首とはすこし違います。)

北極しろくま堂が販売しているバックル留めOnbuhimoは、支えなしでおすわりができるようになってからが使用開始の目安です。

 

最初は短時間のおんぶから始めるのが無難

 

おんぶ育児は、短時間から始めて徐々に長くしていくとよいでしょう。おんぶし慣れないうちは、スムーズにおんぶできない、距離感がうまくつかめない、腰や肩などに違和感を覚えやすいといったことがあります。また、赤ちゃんにとっても、いきなり長時間のおんぶは負担が大き過ぎることもあるでしょう。最初は、10~30分程度から始めて、徐々に時間を延ばしていくことがおすすめです。連続おんぶの時間は最長で2時間です。2時間経過したらいったん降ろしておむつ替えや授乳などをしましょう。

 

外出はおんぶに慣れてからがお勧め

 

赤ちゃんをおんぶして外出するのなら、慣れてからにしましょう。家の中と同様の感覚で行動すると、赤ちゃんを思わぬ危険にさらしてしまう可能性があります。赤ちゃんをおんぶして外出した場合、何らかの理由で背中から降ろしたくても適切な場所が近くにないこともあります。デパートなどの授乳室にはベビーベッドがあるので、ベッドの高さを利用して降ろすのもよいでしょう。休憩ポイントを確認しつつ、無理をしない範囲で外出することも大切です。

 

おんぶをするときの注意点は?

 

おんぶ育児にはどんな注意点があるか、具体的に確認しておきましょう。

 

安全におんぶすることが大前提

 

おんぶ育児では、第一に赤ちゃんを安全におんぶすることが大前提です。赤ちゃんの首が据わっていないときにはおんぶはできませんし、親がおんぶに慣れていないなどでは外出先で困るかもしれません。まずは、赤ちゃんの首がすわっていて、親が安全におんぶできるようになることが大切です。なお、おんぶを安全に行うには、この記事の「5.おんぶ育児に役立つアイテム」も参考にしてください。

 

赤ちゃん側の距離感(でっぱり)に注意する

 

おんぶ育児中は、赤ちゃん側の距離感に注意し、慎重を重ねて行動しましょう。おんぶ育児では、赤ちゃんをおんぶしている分、体の後ろ側の奥行きが広がります。そのため、自分一人だけの距離感でいると、狭い通路などを通る際に赤ちゃんを壁やものにぶつけてしまいやすくなるので注意してください。また、同様に赤ちゃんとほかの人が接触してしまう可能性もあるので、気を付けましょう。

 

赤ちゃんの様子をこまめにチェックする

 

おんぶ育児は、親から赤ちゃんの様子が直接見えないので、気配を感じながら過ごす必要があります。たとえば、赤ちゃんが何らかの原因で体調を崩したりケガをしたりしたときに、早く発見して適切に対処する必要があるからです。おんぶしているときは赤ちゃんが視界に入らないので、対応が遅れてしまうことがあります。子どもが不審者にいたずらされても気づかなかったというケースもあるので、人混みでは注意してください。

 

おんぶ育児に役立つアイテム

 

おんぶ育児に役立つアイテムにはどんなものがあるか、具体的にご紹介しましょう。

 

まずは昔ながらのおんぶひもがおすすめ

 

おんぶ育児には、おんぶひもの使用がおすすめです。だっことおんぶの専門店 北極しろくま堂はさまざまなおんぶ紐(おんぶ具)を取りそろえています。おんぶひもには、以下のようなタイプがあるので好みや状況に応じて選ぶとよいでしょう。おんぶ紐の一覧はこちらです。

 

昔ながらのおんぶひも

 

  • 昔ながらのタイプ:スタンダードな形およびサイズで、最も普及している形状。昭和30年代の型紙を使用しています。
  • ニー・トゥ・ニータイプ:赤ちゃんの脚をしっかり開脚し、膝から膝まで覆うことができます。
  • 大きい子タイプ:体重が15キロ以上の背の高いお子様向けの商品で、障害などでおんぶが必要な場合を想定しています。耐荷重は15キロ程度としておりますが、肩ひもなど各部は通常よりも頑丈に作っています。
  • 特別サイズタイプ:使用者の体格が大きな場合におすすめです。
  • 1本ひもタイプ:柔道の帯のような1本のひもで、背当てがないシンプルなもの。持ち運びにも便利です。
  • へこおび:抱っことおんぶ兼用にできます。最初はすこし難しいと感じるかもしれませんが、慣れると早くて簡単です。
  • ベビーラップ:Baby Wrapのおんぶはおんぶしている間は楽にできる反面、慣れるまでがすこし難しさを感じることが多いかもしれません。

 

実際に人気があるおんぶ紐は?

 

おんぶ紐のなかで最も人気があるのは、昔ながらおんぶひものなかでもニートゥーニータイプです。すこし月齢が進んだお子様(例えば6ヶ月、8ヶ月など)もラクにおんぶできるし、月齢が小さいうちはひも等をつかって背あての大きさを調整できるからです(やり方はこちらのページへ)。ニー・トゥー・ニーは使用者側の肩ひももすこし幅広くクッション材も多めに入っています。

 

へこおびは抱っこもできるので、新生児の時に「しじら織り」のもので抱っこしていた方が、すこし大きくなったところで厚めの生地を追加購入される方が多いです。布の抱っこやおんぶに慣れると、ストラクチャータイプの抱っこ紐(バックル式の抱っこ紐でおんぶすること)には戻れないという声もたくさん聞きます。薄手の生地は扱いがらくで速乾性もありますが、厚手になるほど体重が分散されやすく身体がらくになります。へこおびの一覧はこちらです。

 

へこおびでおんぶするママ

 

●へこおびの薄手生地:日本製
 →しじら織り(さくら、オリンピアードシリーズなど)
●へこおびの中厚手生地:日本製
 →しじら織りで糸が太め(デフィ)、ヘリンボーン織り(カマイユ)
●へこおびの厚手生地:日本語名のものは日本製、英語名はポーランド製
 →ダイヤモンド織り(Hishi)、ジャカード織り(renkonなど)、英語名の製品はLenny Lamb社とのコラボ製品

 

おんぶのメリットに関するよくある質問

 

最後に、おんぶ育児のメリットに関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。

 

Q. 夏場は背中が暑くておんぶしたくないのですが。

 

A. 夏場の屋外など、気温が高過ぎる場所では、無理におんぶをする必要はありません。親も赤ちゃんも不快に感じるほか、熱中症になるリスクも高まります。たとえば、過ごしやすい季節やエアコンを入れた屋内など、快適におんぶできる状況で行うとよいでしょう。赤ちゃんは脇から通気しますが、親は背中に密着されるのでより暑く感じるようです。

 

Q. おんぶではなく、抱っこの方が好きです。抱っこは赤ちゃんにメリットがないのですか。

 

A. おんぶだけがよいのではありません。抱っこひもやスリングも、赤ちゃんと親が密着でき、両手が自由になる点では優れたアイテムといえます。状況に応じて、おんぶひもと使い分けることがおすすめです。ただし、抱っこでは引火防止や刃物の取り扱いにより炊事はできませんので、その点はご注意ください。

 

Q. おんぶ育児と抱っこ育児ではどちらがメリットがありますか。

 

A. 一概にはいえません。おんぶ育児にも抱っこ育児にも、それぞれメリットとデメリットがあるからです。
おんぶや抱っこすることそのものにもデメリットはあります。両方とも赤ちゃんが自由にいる時間を拘束します。赤ちゃん自身が自分の体を「発見」するためには、赤ちゃんが自由に身体を動かすことが欠かせません。抱っこしているからよい、おんぶしているからよいということは一概に言えません。
ただし、触れないこと、寝かせっぱなしについてはデメリットのほうが大きいようです。触れることのメリットについてはこちらの記事をご覧ください。

 

Q. おんぶばかりしていると甘えん坊に育つのでは?

 

A. 心配ありません。むしろ、幼少期に親とのスキンシップが十分にあり、愛情をたっぷりかけて育てられることで、自己肯定感が高まり自立心が生まれやすくなります。

 

【参考】

赤ちゃんをはじめからよく抱かずにあまやかさずに育て、早く自立させようなどと考えるのは、まったく間違っています。それは逆なのです。早く自立させるためには、はじめからよく抱いて育てることです。(p44)

石田勝正『抱かれる子どもはよい子に育つ こころをはぐくむ愛の心理学』PHP文庫 2003年

 

Q. おんぶ育児はなん歳まで続けるとよいですか。

 

A. 特に決まりはありません。子どもがおんぶを要求し、親が応えられるうちは続けてもよいでしょう。ただし、子どもが成長して重くなるとおんぶが大変になるため、3歳程度までを目安にするのがおすすめです。赤ちゃんが重くなってもおんぶが大好きであれば、負担がすくないジャカード織りのへこおびやBaby Wrapをお勧めします。
親の背中を十分味わいつくした子は、自信をもって自分の道を歩いて行くことでしょう。

 

まとめ

 

今回は、おんぶ育児のメリットについて詳しく解説しました。おんぶ育児には、親の両手が自由に使える、赤ちゃんと密着するので双方に安心感が生まれるなど、多くのメリットがあります。ワンオペ育児などで赤ちゃんを見ながら家事をする必要がある場合などにも、おすすめです。ただし、おんぶ育児を行うには、赤ちゃんの首が据わっていることが大前提になります。なお、おんぶ育児には、体に合って使いやすいおんぶひもを利用すると便利です。大切な赤ちゃんに使うものですから、信頼できる業者から購入してください。

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