気付いたら赤ちゃんの足がうっ血(チアノーゼのように皮膚が紫色になる)していたという経験はありませんか? 抱っこ紐をちゃんと使っているのに、どうしてうっ血してしまうのか不思議ですよね。
今回は抱っこ紐を使っているときに赤ちゃんの足がうっ血してしまう原因と対処法をお伝えします。赤ちゃんの腿や鼠径部を圧迫しない抱っこ紐を選ぶのがポイントです。

うっ血の原因

おむつの腿まわりがきつい場合

いきなりおむつに話がいってしまいますが、心当たりがある方もいるかもしれません。
うんち・おしっこは漏れたくない! これは世界中の親御さんの願いですね。で、きっちりおむつをします。おむつをするときは赤ちゃんは寝かされた状態です。脚も少々伸びていることでしょう。

この状態できっちりおむつをしてしまうと、抱っこの姿勢になったときに、腿周りがきつくなります
だいぶ前にテレビのバラエティ番組で、きついデニムは寝た状態で履くと履けるという検証をしていました。きついデニムでも立ち上がることはできますが、膝を曲げて股関節を曲げる(つまりM字開脚)になることは難しいです。赤ちゃんも同じで、寝かせた状態で漏れないようにきっちりおむつをすると、抱きあげて脚を曲げたときにはきつくなります。
おむつからの漏れも気になりますが、長い時間抱っこする予定があるときには、おむつの付け方をすこし緩めにしてもよいでしょう。

抱っこの姿勢が関係している場合

うっ血する理由のひとつは赤ちゃんの脚がしっかりM字開脚になっていないから。

赤ちゃんはお尻がさがって座る状態で抱かれます

赤ちゃんを抱っこする時には抱っこひもを使っていなくても極力M字開脚になるように抱くと赤ちゃんも楽に過ごせます。
抱っこひもを使う時にも【お尻が下がって膝が持ち上がった】姿勢がとれるように抱っこひもを調整しましょう。

このM字開脚は和式トイレの姿勢でもあるのですが、実はこの姿勢をすると便秘解消する赤ちゃんが多いです。抱っこの仕方を教えていて、急に大量に…ということがしょっちゅうあります。鬱血も心配ですが、おむつ漏れも困りますね。

M字開脚は180度ひろげているのではありません

漏れとはちょっと話がずれますが、M字開脚について確認しましょう。脚は前述したように確かに膝が持ち上がっている状態で、膝を床に押し付けるように脚を180°開脚しているわけではありません。寝かせた時に、膝は床から上がっていて良いのです。力を加えて膝を床につけるとお尻が引けてしまうため背中が反り気味になり、脱臼しやすくなります。
かかとも離した方がよりbetterです。こちら(英語)のページが参考になります。
とはいえ、日本人の赤ちゃんは諸外国の赤ちゃんに比べて小さく産まれてくることが多く、新生児のうちは膝が開脚していてもかかと(foot)が閉じ気味になっている子も多いと思います。特に体重が3000g以下の頃には膝は開きますが、かかとをくっつけた姿勢をとることがあります。それは異常ではありませんのでご安心ください。徐々に膝もあいた姿勢が取れるようになることでしょう。

腿やふくらはぎを押さえないようにしましょう

脚が充分開いておらず、その上を抱っこひもで押さえてしまうと血流が悪くなります。また、股を吊って脚が下がった状態で長時間すごすとうっ血しやすくなります。
赤ちゃんの体格に合わない抱っこひもを使用している場合は、うっ血することがあります。
布製抱っこひもで赤ちゃんの膝までのフォローがうまくできずに開脚が不十分なときには腿の上や下を押さえてしまうことがあります。反対に抱っこひもが大きすぎて膝を越えてふくらはぎを上から押さえている場合もありますので、そのような時には改善が必要になります。ストレッチ素材の抱っこ紐で気付いたら脚が下に伸びていたというときにもうっ血しやすくなります。
次項では改善の方法を確認しましょう。

抱っこ紐種類別うっ血対策

SSC(ソフト・ストラクチャ・キャリア)

リュックのように使える抱っこひもの場合はあらかじめカタチができあがっているので、それに赤ちゃんを(ママとパパも)合わせる必要があります。

抱っこ紐SSC
腰ベルトがある抱っこ紐は必ず調整して使いましょう

赤ちゃんが小さいうちは抱っこひものパネル(本体の赤ちゃんを支える全面)が大きくて、膝よりしたのふくらはぎを押さえてしまうことがありますので注意しましょう。
反対に後述する項で説明するような、腿の上で押さえてしまうこともあるかもしれません。
いずれにしてもパネルの大きさを調整したり、赤ちゃんが小さいうちは付属のクッション材を入れるなどして脚の状態をM字に保つようにしましょう。

伸縮性のある布でできた抱っこひも

伸縮性(ストレッチ素材)のある布を使った抱っこひもの場合,赤ちゃんの脚をM字にして膝を持ち上げることはできますが、その状態をキープするのは難しいです。なぜなら,布が伸びて重力に負けてしまうからです。布がクロスした状態で脚が伸びていると、布が股の鼠蹊部を圧迫しやすくなります。布がオムツ部分にまとまってしまうと、ウンチなどオムツ漏れが起こりやすくなるかもしれません。

足が伸びているために太ももで押してしまう
脚が伸びて閉じないようにしましょう

また、歩く度に赤ちゃんの脚をご自身の腿で蹴ってしまうようなら,サイズをみ直すか思い切って抱っこひもを変えるとよいかもしれません。とりあえずの対応策としては,膝を手で持ち上げておきましょう。

スリングなど布製抱っこ紐

スリングなどの布製抱っこひもは赤ちゃんを全面で支える布の大きさを適宜変えられますので、膝から膝までをしっかり覆うようにしましょう。そのことを「シートをつくる」と表現することもあります。
スリングでもしっかり座らせずにお尻だけを覆っていると、腿が押さえつけられて血流が悪くなります。

下のモデル写真のように、しっかり膝まで覆ってみましょう。また、下のレール(布の端)がきつすぎると、使用者の脇腹側のふくらはぎを押さえることになりますので、あまり締めすぎないほうがよいです。
北極しろくま堂では鬱血しない姿勢がつくりやすく,快適に抱っこできるスリングや抱っこ紐をご提供しています。商品はこちらからご覧ください。

おんぶひも

日本の伝統的な昔ながらのおんぶひもは実は膝まで覆っていません。昔のおんぶは脚を伸ばしたり、親の腰に踵を乗せて使用していました(半纏や亀の甲なども使っていました)。
さまざまにおんぶされる中で、赤ちゃんたちはおんぶしてくれる人の身体にしがみついて能動的におぶわれることを自然に体験しているので、素手でおぶう時には脚を広げてくれます。

男性がおんぶして家事をしている
おんぶされていても自分で動かせる脚と手


おんぶされる月齢はすでに4カ月以降の身体がしっかりしている赤ちゃんなので、脚が下がっていてうっ血することは少ないでしょう。昔の人のように半纏(はんてん)などを使えればよいのですが、今では手にいれることも少ないでしょう。

昔は「ねんねこばんてん」を羽織ったものでした

ねんねこばんてん等の上衣を用いないのであれば、ときどき赤ちゃんの膝を持ち上げるようにして、ママの腰にしがみつくように促してあげるとより良いでしょう。その点を解消したニー・トゥー・ニー(膝から膝まで)という商品名のおんぶひももあります。背あてが少し広いので、4カ月で使い始めるときには難しく感じるかもしれませんが、おんぶ時間が長い子はこの方が楽に過ごせると思います。詳しくはおんぶ紐のページ、こちらをご覧ください。

北極しろくま堂のむかしながらのおんぶひも
ニートゥーニーサイズのおんぶひも

まとめ

赤ちゃんは抱っこひもで抱かれている時には脚で体重を支えるのではなく、お尻で支え、体は使用者に預けています。
赤ちゃんの開脚の状態についてはブログのこちらの記事でもご紹介しておりますので、ご興味のある方は読んでみて下さいね。