おんぶすることとBabyをCarryすることは違います。だいぶ、かなり違います。赤ちゃんは運ばれるだけの存在ではありません。おんぶの時間はあやし、時間を共有し、世界を知るための時間になります。そのために使われてきたのは「昔ながらのおんぶ紐」なのです。

でも昔ながらのおんぶ紐は胸が強調されて恥ずかしいし、だいたい紐だけで赤ちゃんを背中に乗せるなんて怖すぎる! と思っていませんか。
いいえ! 怖くありません。赤ちゃんのためにも親のためにもなる昔ながらのおんぶの効果について解説します。胸がバッテンにならないおんぶはこちらの動画を参考にしてください。おんぶ紐の種類についてはこちら

赤ちゃんが動きを学べる

昔ながらのおんぶ紐の特徴は、密着して・肩越しに前が見えることです。
おんぶされた赤ちゃんは親と同じように歩いたり、部屋の隅を曲がったり、階段を降りています。ん? そんなの当たり前じゃない? と思うかもしれませんね。腰ベルトがあるおんぶでは、赤ちゃんと完全に密着はしないので、親の動きとは一体化しません。少しずれます。
赤ちゃんはまだ自分で動けませんが、密着した親が動き回ることで、動きのイロハを学ぶことができます。密着して、進行方向が見える昔ながらのおんぶ紐ならではの利点です。

昭和30年代の型紙で作った昔ながらのおんぶ紐
昔ながらのおんぶ紐には脚をいれる所がありません。


また、おんぶをしながら調理や掃除をする場合は、その動きも感じながら同時に見ています。
そのことで学べるのは単純な知識ではなく、体全体から知覚できる動きと連動したモノの変化です。包丁を動かせばスパッとニンジンが切れる様子がわかり、腕や指の動きも感じます。洗濯物をパタンとはたけば、強めの振動とはたかれたタオルが素早く動く様子や音が同時に入ってきます。この動きと状態の変化は教えようとして教えられるものではありません。

おんぶしながら掃除をする女性
昭和30年代の型紙を復活させた昔ながらのおんぶ紐

下の写真は生後11ヶ月の赤ちゃんです。この子が住む地域(文化圏)では大人がやっていることを見せて、子どもがやろうとしたときには大人が見守ってやらせていきます。まず、見せる。なんども見せて見守ることで、この子達は学習して上手くなっていきます。

『文化的営みとしての発達 個人、世代、コミュニティ』バーバラ・ロゴフ/富眞千賀子訳/新曜社/2006

日本の親子に同じことをするように勧めるものではありません。大人がしていることや動作を見せたり体験させることは、なによりも知性につながるということを知っていただければと思います。
(子どもって、真似されたくない口癖とか完璧にコピーしたりしますよね(^^;))

長く使える・技術は一生もの

北極しろくま堂の昔ながらのおんぶ紐は、おおよそ3歳くらいまで使えます。いちど身についた技術は、何年経っても再現できるものです。へこおびはもっとシンプルなおんぶ紐ですが、昔ながらのおんぶ紐が発明される前はこのような帯一本のものが使われていました。へこおびは昔はおんぶで使われていましたが、巻き方によっては抱っこもできます。

昔ながらのおんぶ紐でおんぶされている子
親のやることをのぞき込む子ども
兵児帯で抱っこされる赤ちゃん
へこおびはさいしょは抱っこ、首すわり後はおんぶ

学校で習った難しい漢字は忘れることがありますが、これは再現した回数が少ないから。よく使うひらがなや日常的な漢字は忘れませんよね。自転車も一度乗れるようになったら、数年後にも乗ることができるでしょう。一度泳げるようになった人は、しばらく泳いでいなくても、再び泳ぐことはできます。身についた技術は身体が覚えていてくれるのです。
同様に紐一本でおぶえるようになると、災害の緊急時に専用のおんぶ紐がなくても、さらし一枚、布一枚でおんぶすることができるようになります。また負ぶわれている赤ちゃんも、親の身体を跨いだりしがみついて自らの身体を安定させるという動作を覚えることになります。これは体幹を育てる上でとても重要な身のこなしになりますね。

脚を入れる場所がないから寝た子を起こさない

おんぶして気持ちよくて寝てしまった子は、できるなら降ろしてこちらも清々したいですね。その時には、ぜったいに! 失敗したくないですよね。
昔ながらのおんぶ紐は脚を入れる場所がありません。日本の伝統的なおんぶは赤ちゃんの脇で支えて、背中の上部全体で支えるものです。重心が一体となって軽く感じます。で、降ろす時には紐と一緒に降ろすことができるので、目を覚まさせにくいのです。
動画でご確認ください。

https://youtu.be/Sm-pixwXa7c

脚にからまないので、おんぶ紐を外さなくても大丈夫です。深くぐっすり寝てしまったらはずしてくださいね。

まとめ

昔ながらのおんぶの利点を3つご紹介しました。
抱っこがはやり始めたのは1986年頃からです。外出でおんぶを使わなくなったのがいつ頃かはわかりませんが、外でおんぶを見かけないので、おんぶは廃れたと思う方が多いようです。が、お家のなかでは今でも大活躍します。
北極しろくま堂スタッフが実際に子育てでどの抱っこ紐・おんぶ紐が役立ったかをレポートしていますが、使い勝手がより良いのはもっと昔のおんぶ紐=へこおびのようです。これ一本で子育てできるので、こちらもご検討くださいね。渾身のレポートはこちらからご覧ください。
→vol.241 スタッフのリアルボイス〜北極しろくま堂の抱っこ紐・おんぶ紐で子育てしてみました!