布製抱っこ紐全般では、新生児の赤ちゃんも縦方向に抱っこします。頭部はやわらかく、かつしっかりと支えるか、使用者の身体にもたれるような姿勢をとります。キュット ミー!=スリングです。

新生児の基本抱き(0~3ヶ月くらい)

準備編でご紹介した「コアラ抱っこ」をスリングで実践し、『新生児の基本抱き』をやってみましょう。この抱き方は「寄り添い抱き」「腰抱き」「たて抱き」とほとんど同じですが、体格が小さい分ポーチの作りが小さくなります。また赤ちゃんはリングと反対側のレールに頭をもたせかけることになるため、体全体がリングと反対側にかたむくことが多いです。

①キュット ミー!を装着します。

②赤ちゃんをげっぷさせるときのような高さを目指して、リングとは反対側の肩に高めに抱き上げます。
リングとは反対側の手でおしりを支え、リング側の手をポーチの内側に差し入れます。

③赤ちゃんのおしりをリング側の手で支えなおし、リングと反対側の手は外側のレールの端をつかみ、赤ちゃんの首の辺りまで引き上げ、布の外側から支えます。

④少し前かがみになりながら布に赤ちゃんを預けます。赤ちゃんの身体は布に預け、ハンモックに寝ているようなイメージです。
お辞儀した状態で、赤ちゃんの脚が使用者の体をまたぐようにリング側の手でM字に開脚させます。膝裏にレールを当て、使用者の体を起こします。 (注:無理に脚を引っ張るのではなく、おしり〜腿〜膝裏をなで上げるように開脚させます。)

⑤赤ちゃんの頭部のレールを締めるために、しっかりと内側のテールを引きます。下の画像でどこの布がつながってるかを確認してください。
このときに、布をつまむようにして引き上げてからひっぱると引きやすいです。

○テールを引くときのコツ
テールを引くときは、外側のレールに余った布をリングの方へたぐりよせるようにしてから引きます。テールは布はじを少しだけつまむようにして、弧を描くようにしながら赤ちゃんの方に向かって引きましょう。

⑥肩パッドを外側に広げ、背中の布も広げます。

※月齢の小さい赤ちゃんの場合、リングと反対側の脚はスリングから出ないことがあります。その場合でも、布の上から触って脚がM字の状態になっていれば問題ありません。

※キュット ミー!823の場合は、テールを外側のレールに巻き込むと首を支える中綿部分を作ることができます。


新生児の基本抱きの注意点(確認点)

(1) 正しく基本抱きされている赤ちゃんの体はゆるく後湾(猫背)した状態で、背骨は首から腰にかけてまっすぐになっています。横から見ると、ひらがなの「し」の文字のような姿勢です。

(2)ポーチ(赤ちゃんが入るところ)のゆるみなどが原因で赤ちゃんの体が側湾(背骨が左あるいは右に湾曲した状態)になるのは好ましくありません。ポーチが大きいと布のなかで収まりが悪くなります。いつもこうなる時にはポーチを小さめにつくりましょう。

(3)側湾している場合は、湾曲した背中の部分の布をたぐってそこにつながっているテールの場所を引き、「し」の状態になるよう調節しましょう。

○新生児の赤ちゃんをキュット ミー!に入れた状態で授乳する場合
小さな赤ちゃんならば、キュット ミー!のリングを少しゆるめれば基本抱きのまま授乳をすることができます。スリングをゆるめるときは、お母さんはどこかに座るなどして必ず安定した状態を確保してください。
授乳の時に限るならば新生児の赤ちゃんをキュット ミー!の中で横抱きにしてもいいでしょう。ただし、赤ちゃんの膝をお母さんのお腹で押してしまうようなことは避けたいものです。4ヶ月からの抱っこ編「はじめに」に書いた3つの注意点を参考にしてください。

首のすわらない赤ちゃんをキュット ミー!からおろす方法

①布団やベッドなど赤ちゃんを寝かせるところでスタンバイ。
外側のリングをもちあげてキュット ミー!をゆるめます。 片方の手は赤ちゃんに必ず添えてください。

②抱っこしている人が前屈みになって赤ちゃんを寝かせたら、抱っこしている人がキュット ミー!から抜けてください。
抜けるときは頭が先です。

③キュット ミー!をそのままにしてあげると、抱っこしてくれていた人の温もりやにおいに包まれた状態が続くので、赤ちゃんはより安心するでしょう。


以上がキュット ミー!をつかって新生児を抱っこする方法です。この方法は新生児と謳っていますが、4ヶ月からの寄り添い抱きと変わりません。基本抱きが2007年にできたため、名称が変更になってスリング販売メーカーで統一されたという経緯があります。
縦方向に抱っこしても、頭部をしっかり寄り添わせていれば特に問題はありません。抱っこ時の頸部の負担については科学的にも研究されて解明されつつあります。
どうぞ安心してご使用くださいませ。