【特集1】ちっちゃい赤ちゃんの抱っこのしかた

体重軽めの赤ちゃん

日本で生まれる赤ちゃんの体重はこの35年ほどで変化しています。男児で3240g→3040g、女児は3140g→2960gです。また、出生体重2500g未満の低出生体重児も増加傾向にあります。一方欧米の赤ちゃんは日本の赤ちゃんよりも大きく生まれており、アメリカで生まれる赤ちゃんは平均3300gくらい、ヨーロッパ(例えば、オランダ)では3500gくらいが平均と言われています。生まれたばかりで体重差が10%以上もあるというのは、体格差でみるとかなり大きな違いがありそうです。

北極しろくま堂の商品で新生児から抱っこできるものには、
キュット ミー!(スリングの商品名、キュット ミー!823も同様)
へこおび(へこ帯、兵児帯)
Wrap you?(ベビーラップ)
・ラップタイ
があります。
当社の特徴は日本人の体型と日本の気候にあったものを開発・商品化している点です。

 
今回は、小さく産まれる日本の赤ちゃんを抱っこする時に、どんな点に気を付けたらよいかを解説します。
(注:ラップタイは5キロからの使用が推奨されていますが、新生児でもこんな工夫で使うことができます。)

小さい赤ちゃんを素手で抱っこするとき

小さい赤ちゃんを素手で抱っこするとき体重の多寡に限らず、赤ちゃんはコアラ抱っこで抱きましょう。

コアラ抱っこの仕方はこちらのページでご紹介していますが、日本小児整形外科学会が推奨している抱き方です。
首がすわっていないから横方向に抱っこしたいという親御さんは、腕で浮き輪の状態を作って、その中に赤ちゃんのお尻をすっぽりと入れる体勢で抱っこしましょう。こうすると股関節が開き、脚も比較的自由に動かせます。横方向に抱っこするときに、落とさないように股に腕を入れる抱き方を習った方もいるかもしれませんが、赤ちゃんの体が捻れて、少し後には向き癖になってしまうのでお勧めできません。

そもそも赤ちゃんを落下させるほど身体から離して抱くのは危険です。自分の体とくっつけておきましょう。

3,000g以下の赤ちゃんのスリング抱っこで気を付けること

出産後の産院指導で、赤ちゃんは股関節脱臼を防ぐために脚をM字に保つように注意を受けると思います。むか〜しはおむつを替えるときにも脚をひっぱって持ち上げたりしましたが、それは股関節に良くないということでお尻を持ち上げる方法を習った親御さんも多いと思います。

経験からの知見ですが、体重が3000g越えないと、踵(かかと)を広げたM字開脚が難しいように思います。自然に寝かしておくと、赤ちゃんの脚がひし型(◇)に開いていると思います。股関節は拡がっていますが、踵は閉じています。
このような時期には無理に踵を開いたM字開脚をさせずに、自然な姿勢のまま抱っこすることをお勧めします。

スリングでは「新生児の基本抱き」ではなく、脚をすっぽりと入れた「たて抱き」でもOK。
・スリングでよこ抱きをする場合は、赤ちゃんの膝を使用者の身体で押し上げてしまい、膝が立ちやすくなる。ポーチの大きさに気を付ける。

・へこおび(兵児帯)は体重が増加するまで(だいたい3000g以上)少し様子を見る

○股関節脱臼が心配な方は、この時期は布おむつ(成型布ではなく、昔ながらのもの)を使うと股関節が閉じないのでお勧めです。

大きな赤ちゃんが多い海外では、もしかしたらこのような時期は経験せずに抱っこできるかもしれませんね。

おうちの抱っこ

体重軽めの赤ちゃんでも、おうちのなかで長時間抱っこしているのはたいへんですよね。

赤ちゃんは授乳やおむつ替え以外の時間は放りっぱなしも気の毒ですが、かといって、目が覚めているからといって必ず抱っこしなければいけないわけではありません。赤ちゃんが自由に自分の身体を探索する時間も、とてもとても大事なことなのです。

でも、お家の中での抱っこで腕や手首が痛くなってしまった場合は、やわらかい布で赤ちゃんを包むキュット ミー!がお勧めです。小さいうちの赤ちゃんにはキュット ミー!は両端の中綿が大きすぎることがあります。そのときには、中綿を抜いて使っても良いです。中綿は肩パッドの両脇にある取り出し口から取り出せます。

どうぞ、小さい時期の赤ちゃんの抱っこの参考にしてくださいね。

参考資料
厚生労働省 21世紀出生児縦断調査(特別報告)結果の概況 2001年ベビーの軌跡(未就学編)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/index.html

NHK解説委員室 解説アーカイブス「減り続ける出生体重」(視点・論点)
2020年6月29日閲覧

国立研究開発法人国立成育医療研究センター アメリカ出生児の中で日本人が最小―背景には母親の妊娠中体重増加の抑制―
https://www.ncchd.go.jp/press/2017/US.html


【特集2】暑い時期の抱っこやおんぶの工夫
~暑い時期、外出時の赤ちゃんの服装

真夏は大人でも汗や湿度で体力をうばわれるものです。一方、建物に入ると冷房が効いていて寒くなることも。赤ちゃんの服装にも気を遣いますね。

公園などに外出しているとき

上のお子さんにつきあって赤ちゃんも公園へ、なんてこともあると思います。このような時には思い切って赤ちゃんはおむつだけという手もありますよ。もともと当社の製品は通気性を考えて織っています。赤ちゃんが汗をかいてもよく吸い、すぐに乾いてくれます。

ただし、この方法。虫さされには充分気を付けて、虫除けのクリームなど万全の準備を整えてくださいね。

スリングや兵児帯のなかにハンドタオルで包んだ保冷剤を入れる工夫もありますが、身体の一部分だけが冷えすぎてしまうのはあまりよくないので、凍らせるのではなく冷蔵庫で冷やした程度のものにしておきましょう。

商業施設などの建物にいくことが目的のとき

電車やバス、建物内の冷房のことを考えると、こちらは裸んぼというわけにはいきません。

赤ちゃんは普段の夏の格好で良いでしょう。逆に冷房で寒くなりそうだったら、スリングの場合はテール(リングから出ている布)で赤ちゃんの脚をくるんであげましょう。スーパーなどは特に冷房が効いていることが多いので、脚を出している赤ちゃんはよけいに寒さを感じているかもしれません。兵児帯のときには、赤ちゃんの背中に布が2〜3枚かかっていますので、通常よりは冷たさを和らげてくれるでしょう。同じように足先が冷えることもあるので、薄めのストールなどを腰〜お腹に巻き付けてもよいでしょう。

いかがでしたか?

夏の時期は、暑さだけではなく、車中や建物内の急激な温度変化への対策も必要ですね。
一枚の布でできているスリングや兵児帯ならではの工夫をぜひ楽しんでくださいね。


次号予告

へこおびとリングの協演
 
へこおび(兵児帯)はそれだけでも様々な使い方ができますが、リングを使うことでより一層楽しむことができます。リングを使った兵児帯の新しい使い方、試してみませんか?


編集後記

赤ちゃんが生まれてくる前に準備される方が多い育児用品、抱っこ紐。
お子さんが大きくなっても使えるものが増えていますが、生まれたての、体が柔らかく小さい時期には不安も多く、安心して使えるものを探している方も多いようです。
この時期は産褥期でもありますので、できればママと赤ちゃんで一緒にごろごろ休んでいただければと思いますが、必要に応じで抱っこをする際には、抱っこされる赤ちゃんにも、抱っこするママにも負担の少ない抱っこの方法や道具を選んでくださいね!
SHIROKUMA mail editor: NK

EDITORS
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Writer Mai Katsumi, Masahiko Hirano, Masayo Sonoda, Asami Yagi
Copy Writer Mai Katsumi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
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