北極しろくま堂の完全オリジナルスリング「キュットミー!」。
安全性と使い勝手の良さをとことん追求した結果生まれた“こだわり”の数々は、これまで「キュットミー!の5つのこだわり」や「特集 しじらのはなし」「北極しろくま堂の安全なスリングリング」などで特集記事としてご紹介してまいりました。
今日は、縫い手さんたちの手によって1枚の生地がキュットミー!のかたちに出来上がってゆく「縫製の様子」を公開いたします。強度を高く保ち快適に使うための工夫の数々、生地を無駄にしない縫製の工程をどうぞご覧ください。

裁断からテールづくりまで

これが、キュットミー!を縫っている縫製工場の作業場の様子。十数人の縫い手さんたちが働くこの部屋は、まわり一面が窓になっていてとても明るい印象です。

キュット ミー!を縫製する工場のようす

ダーッ、ダーッ、シュッ、シュッ…
ミシンやアイロンの蒸気の音が響く中、縫い手さんたちは朝から夕方まで丸一日仕事の質を変えずに、同じ工程を同じスピードで仕上げてゆきます。目にも止まらぬ早さで生地を貫く鋭い針を、誤ることもなく進めてゆく彼女達の集中力は計り知れません。ものづくりの現場を訪れるときはいつもわたしたちの世界を支えている“底力”を肌で感じます。
さあ、それではさっそくキュットミー!ができあがる様子を縫製工程を順に追って見てゆきましょう。

裁断

発売以来人気の衰えない、グランデ/スモーキーオレンジがかかっているこの大きな機械は「えんたん機」といって、織物を指定した長さに裁断します。始動させると、1反の反物からキュットミー!に必要な長さの生地が次々にできあがります。
全工程の中で、裁断作業はこれだけ。キュットミー!は仕上がり幅に合わせて糸から布を織るため、捨てる部分が出ないようになっています。完全オリジナルだからこそ実現できた、素材を大切にする仕組みです。

この機会は丸まった「反」と呼ばれる布のまとまりを拡げていく機械です。延反(えんたん)機と呼ばれています。

レールづくり

長方形の1枚の生地ができたら、はじめにキュットミー!のレールをつくります。
レールづくりの最初のステップは、長い生地の端から端までを三つ折りにして、アイロンでおさえる作業。

キュット ミー!のレールの部分に印付けするようす

キュット ミー!の中綿を動かせて取り付け・取りはずしができる仕組みは特許取得済みです。

次に、キュットミー!の可動式の中綿を出し入れする部分と、中綿の位置を決める3つのサイズホールをつくるところに、それぞれチャコペンで印をつけます。
通常このような印付けはピッカーなどを使って穴を開けてしまうのですが、そうすると生地を傷つけてしまう可能性があります。これを避けるため、キュットミー!の縫製ではチャコペンを使っているのです。

前のステップで印をつけたサイズホールの部分に、“芯”とよばれる裏布を貼ります。穴を開けることで生地に負担がかかることを少しでも軽減するためです。

サイズホール部分に芯を貼る

洋服のボタンの穴をつくる機械に生地をセットして、サイズホールをつくります。
機械を動かすと、先ずはものすごい勢いで穴の周りが縫われて、次に穴の真ん中に(ミシンについている)小さな刃物が落ちてきます。瞬く間にサイズホールがひとつ完成です。この作業を6回繰り返します。

中綿を出し入れする穴をつくる部分に補強のための生地をあて、ミシンで縫いつけて、はさみを入れ完成させます。

ハサミを入れる

下の写真がレールづくりの最後のステップ。
サイズホールと中綿を出し入れする部分が完成したら、レールの端から端まで、一気に縫い上げます。

テール

テールはリングから出ている布の部分を指します。リングからどのくらいの長さの布が垂れるのかは、使用者の体型によるためテールの長さはまちまちということになります。
この部分は長い直線になりますが、薄い布を長くまっすぐに縫うのは難しい技なのです。お手元の北極しろくま堂製品をみてください。どのミシン目も美しく整っています。

キュット ミー!のテール部分
スリングのテールの処理をする

レールが完成したら、続けてテールの端も三つ折りにして縫い、完成させます。両端に返し縫いをほどこし、しっかりと止めます。

肩パッドづくりから完成まで

布の厚い海外製品は肩パッドが入っていないものが主流ですが(北極しろくま堂の「キュット ミー!823 Simple」がそのライン)、しろくま堂のリングスリングはアジア人の体格にあわせて軽くて薄い目の生地を採用しています。肩パッドがあることで、肩周りの負担を和らげ、布が食い込むことのないようにしています。
なお、キュット ミー!の肩パッド周辺の布がひろがりやすい特別な縫製は特許取得済みです。

肩パッドづくり

キュットミー!のネームタグと洗濯表示を縫い付けます。

リングスリング、キュット ミー!のネーム取り付け作業

キュットミー!のネームタグと洗濯表示を縫い付けます。

続いて、肩パッドの生地と中綿を縫いつける場所にチャコペンで印をつけてから、中綿を入れて縫い合わせます。

全ての縫い物でまち針を使う時には特別な配慮をしている

心地よい厚みを実現した肩パッドの中綿は、白いナイロン生地でくるまれた状態になっています。これは綿の繊維が織り目や縫い目からとび出るのを防ぐことが目的ですが、通常はこのような手間をかけず、可燃性の高い樹脂を使って綿のまわりを固めてしまう方法がとられます。安全と安心を追求する北極しろくま堂ならではの、こだわりの工程です。

肩パッドの縫製には、まちばりを使います。

全行程のなかで、まちばりを使うのはこの時だけ。針には小さな鈴がついていて、絶対に抜き忘れたりしないようになっています。

肩パッドの生地と中綿を縫い合わせてゆきます。
ここまでくると、皆さんも見覚えのあるキュットミー!の肩パッドの形ができあがってきました。

本体の完成と仕上げ

肩パッド部分が完成したら、今度はリングを通して本体と肩パッドを縫い付けてゆきます。キュットミー!の豊かな布幅が邪魔にならないのかと見ていたのですが、縫い手さんには本体の布など見えていないかのようにすいすいとミシンの針を進めてゆきます。

キュットミー!の肩パッドに施された特別な縫製は特許出願済みです。

仕上げ作業

リングスリングの仕上げ作業の様子

縫製が終わったら、アイロンをかけて形を整え、仕上げます。
この後は、縫製中に欠けてしまった針などの一部が万が一製品に入ってしまっていないかを確認する「検針器」という機器にかけられて、北極しろくま堂の配送センターへ納品されるのを待つのです。


工場を訪問した際、とても印象的だったことがあります。
それは、工場の社長をはじめ縫い手さん一人ひとりが北極しろくま堂の製品に深い愛着をもって接してくれていることです。「街でみかけようものなら、それはどちらのスリングですか?って思わず聞いてしまいます。」「そうそう、売場の様子が見たくて百貨店にもいったりして。」
たくさんの縫い手さんたちのあたたかい想いが込められて完成した安全なスリング「キュットミー!」で、いっぱいお子様を抱っこしてあげてくださいね。