Babywearing Conference 2014 @ Phenix Report
北極しろくま堂がそのコンセプトに掲げている「Babywearing」。
世界各地のベビーウェアリング愛好家やメーカーが一同に会する4日間。
店主園田が今年も参加してきました。
『Babywearing Conference 2014 in Phenix』が7月17日〜20日にアリゾナ州のフェニックスで開催されました。このカンファレンスはアメリカでは06年から2年ごとに開催されているものです。
06年はポートランド(オレゴン州)、08年はシカゴ(イリノイ州)、10年リグビー(アイダホ州−この年のみ不参加)、12年ワシントンDC。そして今年はフェニックス。他にヨーロッパやオーストラリアでも開催されていて、私は13年のブリストル(イギリス)にも参加しています。
今回確信したことがいくつかあるのですが、私は参加者の中で2番目くらいに参加数が多いのではないかと思うのです。たぶん最多参加はSlingRing社の方。少なくとも第2回からはベンダーホール(業者さんが販売するエリア)が開設されていて、そこにいらっしゃったと思います。今回彼女と会った時には「あなた覚えているわよ、日本の方よね」と声を掛けてくださいました。
このイベントの主催はBWI(BabyWearing International)で、08年頃から組織されていたと記憶していますが、主催になったのは10年以降かもしれません。
このカンファレンスは地元でベビーウェアリングを教えている自発的なグループがインターネットを使って開催を宣言したというのが始まりなのです。
インストラクターの養成
BWIは全米にまたがる組織でインストラクターの養成を行っています。ベビーウェアリングに興味がある方はまず登録して、様々なベビーウェアリング・グッズの使い方をマスターします。そしてまずVBE(ボランティア・ベビーウェアリング・エデュケーター)になり、その後6カ月以上の活動とスキルアップ、今後の活動計画書などを提出してABE(アドバンスド・ベビーウェアリング・エデュケーター)になり、もっともっとスキルと実績を積み、綿密な活動計画を提出して合格するとMBE(マスター・ベビーウェアリング・エデュケーター)になる仕組みです。アメリカには他にもベビーウェアリングのインストラクター組織があり、イギリスやドイツにもそれぞれ同様の組織があります。
北極しろくま堂は冬になると16年目を迎えるのですが、それほど長く関わっている人(私のことなのですが)はとっても珍しく、エデュケーター歴が長い方でも3年、4年程度という印象です。
私が勝手に考える経験や実績が長い人物というのは、デディモス社の2代目社長とスリングリング社の社長、Rebozo Wayのバーバラ、Maya Wrapのスーザン、TBC(Thebabywearer.com)の創始者のジェニー、そして私くらいかな〜?と思います。現在の組織化された団体には属していませんが、ずっと現場でやってきた人達です。
BWIができたおかげで全米に標準化されたインストラクターが増え、その結果沢山の抱っこされる赤ちゃんが増えたことは喜ばしいことです。
セッションと座学による学びの場
カンファレンスに参加するには事前申込みが必要で、4日間通しの参加で100ドル程度の参加費がかかります。内容はスキルを学ぶセッションと、座学(講演や参加者同士のディスカッション等)の2種類があります。
ベビーウェアリングの道具と言っても北極しろくま堂も数種類の商品を出しているように、「リングスリング」「リングなしスリング」「メイタイ」「ラップ」等いくつかのカテゴリがあります。06年08年のカンファレンスでは「リングスリング」の使用者やそのセッションも多かったのですが、ここ数年は「ラップ」(=長尺の1枚布タイプ。北極しろくま堂では「へこおび」)が主流です。「ラップ」のセッションはビギナーの抱っこおんぶのクラスから、アドバンスまで毎日開催されます。
座学は発達心理学的なものから、「産後うつ」「人種差別と母乳育児支援」のようなアメリカならではのものまで様々です。
今回のセッションのなかで最もエキサイティングだったのは、『前向き抱っこについてのディスカッション』でした。前向き抱っこから派生してウェアリングとキャリーの違いなどに話が次々と広がり、60人くらいのエデュケーターが大激論したのです。話しがもつれてきたところで参加者の一人がすっくと立ち上がり、「今この会場はアマゾンだけど、きっとここに天使が立ち現れて私たちをひとつにしてくれるわ・・・!」と、その白熱した空気をいなしたり。
日本じゃディスカッションの場であってもこれほど本音を言い合うことも少ないでしょうし、エンジェルが降りてくることもないです。アメリカならではの体験だと感じました。
色とりどりの「ラップ」
ベンダーホールでは出店業者さんの商品を試したり購入することができます。今はwrapが流行っていて、7割くらいはラップの商品でした。色や柄の美しさを競い合っていて、見ていてとてもワクワクする空間です。ラップの値段は安いもので150ドル、高いものは350ドルくらいするので私は購入しませんでした。今回は色をオーダーできるショップが出店しており、そこはいつも賑わっていました。その他北欧のメーカーは浮世絵柄のラップを織っていたり、日本の家紋にインスパイアされたメーカーは菊のご紋をアレンジした柄(いいのかな??)の商品を販売していました。
全てのセッションが終わるとスナックランチが振る舞われました。3時間くらいの間、そこにある果物や飲み物、お菓子などを自由に食べてもよいとのこと。
アイスクリームにしろくま柄のものがあったので、いただきました。
その後にお楽しみ会として協賛社から集めたプレゼントの大抽選会も行われ、とても盛り上がっていました。
私の今回の収穫はカンファレンスの内容もさることながら、事前に訪れたセドナでPapoose(ネイティブアメリカンのベビーキャリー)のレプリカが購入できたことです。
アンティークは博物館入りしているのでレプリカで十分。1979年に作られたものだそうです。
これを日本まで運びましたよ。
次回は2016年の7月にアトランタで開催されるそうです。ご興味のある方はどうぞ!
written by 店主 園田正世
編集後記
横浜のUmiのいえにお邪魔してきました。
鮮やかな色合いの壁画が書かれた室内は、なんだかほっとする空間です。毎月多彩なラインナップの魅力的な講座が開かれています。
「子を背中で負ぶうと母としての覚悟ができる。」Umiのいえを主宰されている斎藤麻紀子さんのお言葉です。
子どもを産んだら母という名では呼ばれます。しかし、突然自分の中に何か変化が起きる訳ではありません。子どもが成長していくのと同時に自分も親として成長していく。
その過程でおんぶは子にとっても親にとっても、よい相乗効果を生むものだと信じています。
EDITORS
Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mayu Kyoi
Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano, Nobue Kawashima
Copy Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Chie Miwa