北極しろくま堂が提案するねんねこ生活
北極しろくま堂では創業100年の老舗半纏製作メーカーの「宮田織物」製の半纏(はんてん)をねんねこ半纏として販売することとなりました。
これ以上ないという品質の良さ、丁寧なつくり、半纏として完成されたカタチは子育て中も、それ以降も長く使えるものです。私たちはこの半纏をねんねこ半纏として皆さまに自信をもってご紹介します。
生活に使うねんねこ半纏
昨シーズンは「ねんねこ半纏」の試作を作ったりイベントを開催して、北極しろくま堂として今の私たちが子どもとともに使用したいねんねこ半纏を考えていきました。
それから半年。
モニターになっていただいた各地の方々とのやりとりがあり、現実的に生活するなかで半纏としてどのような形状が快適なのかを考え続けてきました。
モニターさんの意見からわかってきたのは、どうも私たちが昨シーズン考えていたのは、「外出着ではないか」ということ。
生活、特に炊事をするには袖が邪魔になる。
シルクで作ってしまうと洗濯が容易ではない。
なにしろ毎日呉服を着る環境にない私たちが買える値段で製作でき(そうにも)ないのはなぜか。
試作品は何十年も前の育児書を見て製作したものでしたが、もしかしてこれは日常着ではないからこそ、わざわざ「作り方」が掲載されているのではないのか・・・?
改めて昔の日常生活を写した写真集を何冊も確認してみました。
半纏の袖がないもの、筒になっているもの、上から帯のようなものを締めている子もいる。素材も絹ではなくウールか綿に見える・・・。これはどういうことだ? あの型紙はなんだったの?
半纏のプロに聞くねんねこ
そこで国内でも有名な老舗の半纏屋さんに電話してみました。ねんねこ半纏が商品としてあるかどうか(ホームページには掲載がありませんでした)。
ねんねことして特別に作っているものはないけれども、という回答でしたが、当然ですが半纏について詳しそうだ。
そうだ、九州へ行こう・・・!
半纏を作り続けてなんと100年の『宮田織物』さん。筑後市にあります。
対応してくれたのは宮田織物の製品モデルもされている中村さん。いろいろ質問しました。
ねんねこ半纏は現在製造はなく、数十年は作っていないとのこと。しかし改めて育児用に半纏を作る必要があるかということをディスカッションさせていただきました。
というのはもともとキモノは襟を抜くということができるので、ぬいた部分に赤ちゃんが入るスペースを作ったらどうだろうと。昔の人はみんなそうしていたと思うよ。
・・・力が抜けました。やはり昨シーズンに試作したものは当時の外出着だったのです。だから袖があるし、花嫁支度に持っていたなどの逸話があるのだと理解できました。
しろくま堂としてはたまに使用する外出着ではなく、普段からおんぶや抱っこで使える防寒着としての半纏がほしいので取引をお願いしました。宮田織物さんには北極しろくま堂のために今年の販売分からなんとか確保していただき(というのは宮田織物さんの半纏は毎年シーズン前にほぼ完売状態)、久留米絣(くるめがすり)の半纏を取り扱いできるようになりました。
実録!半纏製作
宮田織物の半纏は驚くことに生地から自社工場で一貫生産されています。しかも手作りです。
生地づくり
静岡の生地産地は分業が進んでいますが、こちらでは染めて縦糸をセットし織り上げ、検品まですべて自社工場で行っています。テキスタイルデザイナーもいて、新しい柄や織り方をデザインしています。
裁断と縫製
製品にあわせて生地を裁断していく工程とその後の縫製。製品によって型紙が違うので様々なカットがあり、縫製のバリエーションがあります。
綿入れ
機械で自動的に入れるのではなく、すべて手作業です。これにはびっくりしました。
入れた綿が動かないように留める箇所も多く、長く使うための工夫がなされていました。海外でお安く作られたモノはこの工程が雑な事が多く、目に見えない場所ですがここで着心地の差がでるのです。
子ども用の半纏は肩を上げる必要があるのですが、これも一枚づつの手縫いです。
検品
検査してから出荷されます。
手作業でつくるため生産量が決まっており、それ以上を作ることはできないそうです。着やすく暖かい老舗の商品はファンも多く、毎年秋には販売先が決まってしまうという人気商品です。
半纏は10月中旬頃から発売開始です。発売までもう少々お待ちください
次号予告
キュット ミー!背中の布を広げて快適に♪
スリングは片方の肩で抱くものですが、その楽さの理由は「肩」と「背中全体」で荷重をうけることができるからです。北極しろくま堂のキュット ミー!はその利点を最大限に生かして使用される方がより楽に使えるようにと考えて設計されています。背中の布の広がりひとつで使い心地が変わることを詳しくお伝えします。
編集後記
半纏がいよいよ発売開始となります。
軽さと暖かさが抜群で肌触りもとてもいい上質な半纏は、1枚持っていれば一生ものとして使えます。
お母さんの背中でうつらうつらしながら、優しい声と包丁のトントンという音を聞く。そんな体感は幼い時の尊い記憶となって深く心に刻まれることと思います。かけがえのない親子の時間をおんぶひもと半纏がお手伝いさせていただけると嬉しいです。
SHIROKUMA mail editor: MK
EDITORS
Producer Masayo Sonoda
Creative Director Mayu Kyoi
Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano, Nobue Kawashima
Copy Writer Mayu Kyoi, Masahiko Hirano
Photographer Yasuko Mochizuki, Yoko Fujimoto, Keiko Kubota
Illustration 823design Hatsumi Tonegawa
Web Designer Chie Miwa